管渠更生工法とは
既設管渠の破損、クラックおよび腐食等が発生し、構造的および機能的等が保持できなくなった場合、既設管渠の内面に新管を構築する工法である。
更生工法は、「構造分類」及び「工法分類」に分類され、さらに管の形成方法により細分化される。
【構造分類】
腐食、破損等によって失われた機能が更生工法によって回復された更生管で分類される。
構造分類 | 工法分類 | 機能の概要 |
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自立管 |
反転工法 形成工法 製管工法 (さや管工法) |
既設管路の耐荷力を見込まず、管に作用する外力や劣化を引き起こす物質等に対して自ら抵抗するものとし、新管と同等以上の耐荷能力および耐久性を有するもの。使用する材料から自立管を可とう性管として扱い、下水道においては対比する新管の規格は下水道用硬質塩化ビニル管、下水道用強化プラスチック複合管等とされている。 反転工法、形成工法、さや管工法、および製管工法で施工された更生管が対象となる。 |
複合管 | 製管工法 |
既設管とその内側の更生材が充填材により一体構造となって外力に対抗するものとし、新管と同等以上の耐荷能力および耐久性を有するもの。既設管渠とその内側の更生材が一体となって土圧等の外力に抵抗することは、外力によって発生する更生材と既設管渠の界面におけるひずみの挙動が既設管渠と連続し、且つ、破壊状態が既設管渠と更生材の界面剥離でなく母材で破壊する状態である。 複合管は、剛性管である既設管渠を構造の一部とし、またモルタルなどの充填材を使用することから、剛性管として取扱い、下水道においては対比する新管の規格は下水道用鉄筋コンクリート管とされている。 製管工法で施工された更生管を対象とする。 |
(二層構造管) |
反転工法 形成工法 |
更生管が既設管に内接して、既設管と更生管がともに外力を負担する構造であり、既設管が損傷している場合であってもその損傷度によっては外力の一部を負担するか、もしくは内部に形成された更生管の変形を抑制する。 反転工法および製管工法で施工された更生管が対象となる。 |
注意 :( )内の構造形式、工法分類はガイドラインの適用外である。
【工法分類】
更生工法は、既設管に破損、クラック、腐食等が発生し、耐荷能力、耐久性の低下および流下能力が保持できなくなった場合、既設管内面に管を構築して既設管の更生および流下能力の確保を行うもので、反転工法、形成工法、製管工法およびさや管工法がある。
工法分類 | 管の形成方法 | 工法の概要 |
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反転工法 | 熱硬化タイプ |
熱または光で硬化する樹脂を含浸させた材料を既設マンホールから既設管内に反転加工させながら挿入し、既設管内で加圧状態のまま樹脂が硬化することで管を構築するものである。 反転挿入には、水圧または空気圧によるものがあり、硬化方法も温水、蒸気、温水と蒸気の併用、光がある。 但し、目地ズレ、たるみ等を更生させるのでなく、あくまでも既設管の形状を維持する断面を更生することとなる。 |
形成工法 |
熱硬化タイプ 光硬化タイプ 熱形成タイプ |
熱または光で硬化する樹脂を含浸させた材料や熱可塑性樹脂の連続パイプを既設管内に引き込み水圧、空気圧または蒸気圧で拡張・圧着させたのちに硬化や冷却固化することで管を構築するものである。 形成工法には、更生材を既設管内径まで加圧拡張したまま温水、蒸気、光で圧着硬化する工法または加圧拡張したまま冷却固化する工法である。 但し、目地ズレ、たるみ等を更生させるのでなく、あくまでも既設管の形状を維持する断面を更生することとなる。 |
(さや(鞘)管工法) | さや管タイプ |
既設管より小さな管径で製作された管渠(新管)を推進もしくは搬送組立により既設管内に敷設し、隙間に充填材を注入することで管を構築するものである。更生管が工場製品であり、仕上がり後の信頼性が高い。 多少の目地ズレ等は、更生管径をサイズダウンすることにより解消できるが、不陸、蛇行がある場合には、原則として既設管の形状どおりに更生される。 |
(製管工法) | 嵌合製管タイプ |
既設管内に硬質塩化ビニル材等を嵌合させながら樹脂パイプを製管し、既設管との間隙にモルタル等を充填することで管を構築するものである。流下量が少量であれば下水を流下させながら施工が可能である。 多少の目地ズレ等は、更生管径をサイズダウンすることにより解消できるが、不陸、蛇行がある場合には、原則として既設管の形状どおりに更生される。 |
注意 : ( )内の工法分類はガイドライン適用外である。